進化
ただひたむきにわたしはわたしを憎む。
愛というものが憎しみと表裏一体であるならばきっとわたしはなにも愛せない。
愛することと好ましく思うことは似てさえいない。
好ましく思うことは肉体を伴わないからだ。
生と死はイコールの関係にあり、発生と回帰と言い換えることもできる。
永遠の生に未来は存在せず、現在に立ち尽くすばかりだ。
変化は必ず栄枯盛衰の定めを辿る。
何事も滅びる。
わたしは人が人であることを否定しようとは思わない。
否定すべきは行動ないしは結果であり、その根底にあるのは人が人であるゆえの独善性だ。わたしたちは群れを作る習性をもつ。構成個体は群れを守り、敵対する同種を攻撃する。なにもかも普通の動物だ。唯一違う点があるならば、人間は己がために環境を改変しうるそれのみである。
そして人間は傲慢という権能を得た。他者ではなく他種を自種に優先させ、あまつさえ動物と自らを切り分けた。そして自己憎悪を手に入れた。
これは人の進化である。それは喜ばしいことともいえる。
わたしが人に獣であることを忘れるな、というのはあくまで個人のスタンスだ。
ただほんの少し寂しく思うだけだ。
汝は人なりや?