怪物
いつか怪物になる私へ。そう名付けられた文章を読んだ。
人間の気質は濃縮され、自我にたどり着くのだそうな。
そしてひとという無垢は怪物になる。
わたしは詩を書く人間だから、どうしたってそこと繋げてしまうのだけれど
なるほどわたしは怪物になるのだ、と思った。
こんなことをしていればどうしたって譲れないものは多くなる。
目覚めた自我のたどり着く場所を探して書いているからだ。
詩人なんてものはそうなるしかないのかもしれない。
なによりも強く自分におびえてなお自分でしか在れない怪物に。
わたしは何なのか?そんな終わりのない問いかけはいっそ滑稽だ。
それでも合わせ鏡にわたしはだれだ、と問いながら
わたしはわたしだ、と叫ぶひとりきりのだれかにしかなれない。
前々から自分の内に何かが棲んでいる、なんて思ってはいたが
なんてことはない。ただわたしが怪物なだけだった。
けれどそれが嫌だったのかもしれない。
だから怪物をみつけたわたしが生まれたのだ。
怪物は己を憎み外付けの両親回路を作った。
そしておびえるわたしはちいさな檻を作った。
そこに怪物を押し込めていたつもりだったのだけれど
なんて事はない、それは鏡だった。それだけの話だ。
わたし達はみにくい怪物となって、それでも生きていく。泣き叫んでもなんでも生きていく。きっとそれだけが救いになる。
詩を書くということは、怪物にナイフを突き立てることによく似ている。